母と「第一回冥途の土産旅行」に行ってきた(1)

こんにちは。今日も楽しいマキオカです。

一昨日、86歳の母と無事奄美から帰宅しました。
母は1月にふんどし息子と行ったわたしの奄美の話を聞き「そんなにいいところなら、わたしも行きたい。」と言い出した。

50数年前には東名自動車道で事故に遭い死にかけ、その後も大腸がん、腸ヘルニア、白板症、白内障の手術、胆嚢摘出、緑内障になったりと満身創痍の母。
10年近く前には硬膜下血腫の手術もしている。

極めつけは去年の頭蓋骨骨折。
本当にすんでのところでボケ老人になるところだった母が「行きたい」と言い出した奄美旅行なので、何としても叶えてあげたいと思い、元氣なうちに、と電光石火のごとくスケジュールを組んだのだった。
(あとから聞いたところによると、腸ヘルニアが再発し、暖かくなったらまた右側の腸を手術することになったらしい。アブナイところだった!)

一見元氣に見えるが、事故後遠くへ出かけたことは一度もなく、家の中にいても足元がフラフラする場合があるので、出発前日の13日から実家に行くことにした。

リビングに入り母を見ると、いつもと雰囲氣が違う。
奄美行をとても楽しみにしていた母は、美容院に行き数十年ぶりに髪をカットしパーマをかけていた。
家もすっかり片づいていて、荷物もパッキングされている。
明日着ていく服についてあれこれ聞いてくる母の表情は、心なしか若返ったように思われる。

どんだけ楽しみにしてるんだ、母よ。
なんとしてもこの旅、成功させねばならぬ。

夕飯は片づけ易いようにお弁当を買ってきたと言っているのに、わざわざ舌平目をバター焼きにしたりして、いそいそとウィスキーを注いでくれる。

・・・が、いくらなんでも濃すぎだよ。
飲めないと言っても、目を離した隙にドボドボとウィスキーを注ぎ足す母。

旅行前日というのに、老いた娘をそんなに酔わせてどうするつもりだ?
いつもながらのサービス過剰氣味の接待を受け、すっかり酔っぱらってしまったわたしは片づけもできずに倒れるように寝てしまった。

朝、二日酔い氣味の身体に鞭打ち起きていくと、部屋はきれいに片付いている。
どうやら母は片づけをしてから寝たらしい。

むう、しまった。
旅行前に母を疲れさせてどうする。

昔はどちらかというとぽっちゃりしていたのに、今母は38キロしかないという。
体力がすっかりなくなってしまった母を、無事奄美に連れて行き、楽しい思い出を作って帰ってこなきゃいかんというのに。

朝食代わりに母が買っておいた「たこ焼き入りの鯛焼き」(なんじゃそれ)を食べる。
餡も蛸も入っていない甘しょっぱい小麦粉の塊に驚いた脳が「こんなもの食べるのは無理だすっ。」とごねていたが、旅行前なので残すわけにもいかず、無理やり喉に押し込む。

大きなリュックを背負い旅行鞄を転がしながら歩くわたしと、杖をつきながら歩く86歳の母の「冥途の土産旅」はこうして始まったのでした。

YCATまで姉に送ってもらい、空港リムジンバスで羽田へ。
母を座らせ手続きをしてふと見ると、母がいない。

とりあえず荷物を預けてキョロキョロしていると、向こうからよろよろと歩いてくる母の姿が。
団体ツアーの旅行に慣れてしまった母にとっては、手続きに時間がかかり過ぎていると感じ、不安になってしまったらしい。

出発の12時10分にはまだ1時間半ほど時間があるので、朝食をとろうと母が言う。
甘しょっぱい小麦粉の塊がまだ胸の辺りに残っているわたしは食欲がなかったのだが、母に少しでも食欲が出たのなら食べずばなるまい。

1月に息子と来た時は、簡単にカレーを食べて済ましたが、母は和食が食べたいという。
広い羽田空港のロビーを和食のお店を探しながら歩いていくが、慣れないためお店の場所がよくわからない。
母に合わせゆっくり歩いていると、お店に着くまでに30分近くかかってしまっていた。

母は「鴨汁蕎麦」を注文する。
・・でも母は鶏肉が苦手だったはず。
大丈夫なのか?

わたしは時間が氣になり、氣が氣ではない。

このお店から指定された保安検査場まではかなりある。
母の歩行速度を考えれば、予想していた以上に時間がかかるだろう。
早めに出て、手荷物の検査とボディチェックを受けなければならない。
そして母を遠い搭乗口まで、11時40分くらいまでには連れて行かなければ。

時間を計算しつつ急いで食事を済ませた時、母は「このお蕎麦、鴨もキライだから食べられない。食べて。」と言って、食事を終えたばかりのわたしに半分以上残った蕎麦を寄こしてきた。

鴨肉が手を付けられずに汁に浮かんでいる。
あまりにもったいないのでできるだけ頑張って食べたが、鴨肉がキライなのに何故「鴨汁蕎麦」を注文したんだ?母よ。

食後のお茶を飲むというのを切り上げさせ、焦る心を押し隠しながら保安検査場までゆっくり歩く。
無事手荷物の検査とボディチェックを終え、搭乗口に向かう。

氣持ちが急いているのに、「動く歩道」を歩かずじっと立ったままでいるのは、ちとつらい。
それでもなんとか12時10分発のJAL659便の搭乗口に、11時50分に辿り着いた。

トイレも済ませ、一息ついて椅子に座っていると、母が「ちょっと周りを見てくる。」と言って、売店の方に向かった。
しばらくして帰って来た母の手には、なんと肉まんが。

「薬を飲まなきゃならないから半分食べたけど、これ以上食べられないから食べて。」と、紙に包まれた肉まんを寄こす母。

・・・ホントに食が細いのか?
それともこれは娘を今以上のデブにするための策略なのか?

黙って紙に包まれた肉まんを握りしめ、鞄の隅にそっと入れたわたしなのでした。

つづく

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気が付いたらキャンプ場をやっていたマキおかんです。

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