母、奇跡の復活!(2)

こんにちは。今日も楽しいマキオカです。

先日自分が書いたブログの『(母が)「この子が死んだら、わたしも海に入って死のう。もし助かったら結婚生活を続けよう。」と覚悟をしたのだそう。』という下りを読んで「自業自得とはいえ、そんな覚悟をされた父も不憫なものよのう。」と、亡き父を偲びしみじみしたわたし。

まさか妻が(子どもが死ぬくらいイヤなこと≒自分との結婚生活)と思っていたとは。

・・いや、待てよ。
思い返してみれば母は父の目の前でこの話をしていたような氣が。

うーむ、それでも添い遂げたのだから、夫婦の機微というのは傍では分からないもの。
嫌で仕方のない相手でも、我慢して添い遂げると見えてくる世界があるものなのか?

それはともかく。

ぼんやりと宙を見据える母を前に、暗澹たる氣持ちを抱えながら京都の救急病院を後にする。

「一泊2500円の宿って、どんなところだ?」と思いながら行ってみると、部屋を簾で一畳半づつ区切り雑魚寝をするスタイル。
男女混合で、外国のバックパッカーが多いようだ。
もちろんわたしのようなおばさんはいない。

い、いいんだもんね。
年を取ったら豪華京都旅行をするんだもんね。

そして「今回のホテルはラグジュアリーで素敵だけど、以前泊まったお安い宿もそれなりに面白かったわあ。奥様、ああいうとこに泊まるのはお若いうちでないと経験できませんことよ。人生の引き出しを多くするのは何事も経験ねえ。」ってうそぶいてみせるもんね。
(奥さまって誰?)

翌朝、一日遅れでふんどし息子がやはり深夜バスで京都入りをする。
鍼灸師でおばあちゃん子の息子は「大変だから来なくていい。」というわたしに「一刻でも早くリハビリも兼ねて鍼治療をしてあげたい。」と言い、整骨院に休みをもらい駆けつけたのだ。

泣かせるじゃないか、ふんどし息子。
母は心強いぞ。

息子が今回の事故の話を周囲の人にしたら「東寺の薬師如来様が霊験あらたかだ。」と教えてくださったとか。
困ったときの神頼み。
病院に行く前に東寺にお参りすることにし、歩いて向かう。

東寺真言宗の総本山で国宝の金堂の拝観は8時半からなので、少し待つ。
早朝の人氣のない薄暗い広大な空間の中に、本尊の薬師如来坐像と日光菩薩、月光菩薩の両脇侍像が安置されている。

母の姿を思い浮かべながら、母の住所、氏名、事の成り行きを申し上げ、心から回復のお願いをする。

ふと見ると金堂の中の一隅で白髪のご老人が数珠を売っている。
「難が転じますように。」との願いを込め、南天の数珠を求めた。

病院に向かい、母の腕に南天の数珠をつける。
やはり反応が鈍い。
が、ぼんやりした表情ながら、ふんどし息子に会い嬉しそうな母。

リハビリも兼ね、話をしてみる。

「どうしてここにいるか、わかる?」
「分からない。」
「ホテルで転んだんでしょ。」
「誰が?」
「お母さんが。」
「モモ(ひ孫)を抱いて?」

食べたばかりのサンドイッチの具が分からない。
確認してしばらくしてから同じ質問すると、やはり分からない。

わたしの携帯を見て「リモコン持って来たの?電卓?」と聞く母を見て、流石のふんどし息子も愕然とした様子。

病院の治療は痙攣止めを飲ませるのみ。
とにかく時間薬ということらしい。
早速お医者様の許可を取って、鍼治療に取りかかる。

両手首、両足首に5分ずつ鍼を差し刺激を与える。
その後、鼻の下に鍼を差し(これは相当痛いらしい)3分間刺激を与える。

「痛い、痛い。」と辛そうな母を「もうちょっと!」「あと30秒だから頑張って!」と励ます。

何とか鍼治療を終えた母は心なしかスッキリしたように感じられる。

この治療を3日間続けた結果、母は驚くべき回復をとげる。
話の辻褄が合うようになり、目に力が付いてきた。
計算の問題を出してみると、かなり早くできるようになっている。

ただ三半規管を打っているため、ベッドを起こすだけで5~6回止めなければならない。
やっと起きたと思っても眩暈による吐き氣でフラフラになってしまう。
車椅子に座ることもままならない。

早く横浜に帰してあげたいが、これでは新幹線にも乗せられない。
レンタカーでワゴン車を借り、ゆっくり病院に運ぶしかないのか?

が、仮に何とか横浜に辿り着いたとしても、今度は引き受け手の病院が見つからない。
京都の病院のスタッフの方が一生懸命探して下さるが、難しいらしい。
以前硬膜下血腫で入院した救急総合病院は「帰って来られるくらい回復しているのであればうちの病院でなくてもいいのでは。」との返事だったらしい。
知り合いの病院は脳外科がない。

転院って、素人が考えるよりハードルが高い。
こんな状態の年寄りに、いったん帰宅してから病院に行き、普通に受付をし待合室で待ってから診察を受けろ、という事らしい。

そんなことできるかっ。
座ることすらできない年寄りに無茶を言うな!

たぶん点数とか病院特有の諸事情があるのだろう。

そうこうしているうちに息子が帰らなければならない日が刻々と近づいてくる。
わたしだってそういつまでもいる訳にはいかない。
この日を逃したら、わたし一人で母を連れ帰るのは絶望的。

やはり母一人を京都の病院に置くしかないのか?
話す相手もいない入院生活でボケちゃわないのか?

それでなくても氣になっている眉間の皺がいつも以上にくっきり目立ち出し、ストレスと寝不足でカサカサになったお肌はわたしを5歳以上老けさせる。

ま、ここは京都。
知り合いは誰もいないし、わたしになんかに興味を持つものもいないからいいけど。

いいんだもんね。
年を取ったら豪華エステ旅行をするんだもんね。

そして「今回のエステはラグジュアリーで素敵。昔母が怪我をした時は髪振り乱して我ながら凄まじかったわあ。奥様、ああいうことはお若いうちでないとしちゃダメね。人生の引き出しを多くするのは何事も経験ねえ。」ってうそぶいてみせるもんね。(だから奥さまって誰?)

そうこうしているうちに、いよいよ息子が帰る日がやってきたのでした。


つづく
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突然ですが…

ブログ読んでる内に…ファンになってました♪d(´▽`)b♪
なんかこう純粋な優しさを感じたんです。
少し冷静さを取り戻せた気がします
今の私は、思い足枷が足のみならずなんかもう両足両腕にはめられてるんじゃないかと思うぐらい心だけじゃなくて体までしんどくて…。

マキおかんさんも日々、苦労や悩みお持ちだと思うのですが相談とまで言わないので私の話聞いてもらえたりしませんか?

耳を傾けて頂けるだけで有難いです
お返事を本当に心から待ってます。
ご迷惑ならコメント事私のことも消してください。すみません。

Re: 突然ですが…

青空さん、初めまして。
ブログをお読みいただきありがとうございます。

「今の私は、思い足枷が足のみならずなんかもう両足両腕にはめられてるんじゃないかと思うぐらい心だけじゃなくて体までしんどくて…。」という時期、わたしにもありました。
長い人生の中にはいろいろありますよね。

泣きたい時は思い切り泣く。
沈み込んでる時はどっぷり沈み込む。

そんな風にして乗り切ってきた氣がします。

どうか一日も早く青空さんがそのお名前のように晴れ晴れとしたお氣持ちになれますように。



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Author:マキおかん
気が付いたらキャンプ場をやっていたマキおかんです。

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