どんど焼きに行ってきた

こんにちは。今日も楽しいマキオカです。

一昨日、久し振りにマキオカに行き、どんど焼きに参加してきました。

この時期マキオカはとても寒く、凍結の可能性もあり、わたしはここ十数年冬場は行ったことがない。
ところが先日、知り合いの写真家Mさんから、牧丘に伝わるどんど焼きを見たいという連絡があり、急遽行くことにしたのでした。

「道の駅」で待ち合わせMさんと落ち合う。
Mさんは穏やかで静かな語り口が魅力的な方。袴にマントを羽織り、個性的なファッションはさながら吟遊詩人のよう。
古武術の先生でもあり、いつも素敵な写真を撮って感動を与えてくれる。

今回はMさんの弟子でもあるIさんもご一緒した。
Iさんはネパールに留学されたり、インドにいらした方らしく、やはり民族調の腰巻とマントのファッションがとてもお似合い。
純粋そうなまなざしの素敵な女性。

着ぶくれたおばさん、吟遊詩人、腰巻マントの3人で車一台に乗り込み、マキオカに向かう。

まず熊男の家に挨拶に行き、熊男から昔話などを聞く。
自家製の干し柿や甘酒に漬物、昼食もご馳走になるが、特に干し柿は本当に美味しい。

ふっくらとしていてキレイに粉がふいている。
まるで和三盆のような上品な甘さ。
口に含むとねっとりとしていて、それでいてさっぱりとした後味。
この地方の木枯らしと朝夕の寒暖の差が激しさが、とても干し柿に合うらしい。

熊男宅を辞し、まず「どんど焼き」で有名な塩平に向かう。

「どんど焼き」
『1月14,15日の小正月の道祖神祭行事をいう。中世の宮中行事左義長が起源と云われる。地域の各戸から、正月の門松、ササ竹、しめ飾りなどを集め、14日夜、道祖神場で燃す。その燃える火を形容してどんど焼き、どんどん焼きとも地方的に呼び方がある。
火は古代から神聖視され、その威力に神力を信じてきたので、今でもどんど焼きの火で、上新粉(米の粉)で作った団子を焼いて食べるとかぜをひかないと言われる。またこの火のあおりで、子供たちは書きぞめの紙を空へ上げるが、高く上がれば書道の手が上がる-というならわしが各地で続けられている。』

山梨市牧丘町塩平(しおだいら)地区の獅子舞は、山梨市の無形民俗文化財として300年以上前から伝わる伝統芸能で、よくテレビにも出ている。
過疎化に伴う伝承者の減少や高齢化で多くの地域がやめてしまっている中、この地域では保存会を立ち上げて、今もしっかり行われている。

この地域では「どんどん焼き」と呼ばれ、毎年小正月に当たる1月14日に行われるらしい。

山梨のどんどん焼き
『どんどん焼きは、山梨市内では、道祖神場に子供たちが作ったわら小屋を焼く、火の祭典として行われるのが通例である。昭和30年代までは、小屋の内部に囲炉裏を切って、餅を焼いて食べたり、甘酒を飲んだりする遊びの部屋でもあった。
しかし、昭和50年代以降の稲作転換でわらの確保が難しく,その形態は変化している。
地縁集団である組を単位として、どんど焼きの直前1年以内に生まれた子供が仲間入り(あるいは氏子入り)する最初の行事としてどんど焼きを行う地域もある。
山梨市では、道祖神祭りの一環として、旧正月に氏子入りから14歳までの子供たちが当番の家に集まり,食事をともにする。』

青竹に飾りつけをした「おやなぎ」は、扇を使って太陽と月を表わし、日用雑貨を戸数分吊るし、その下に男女を表す「お山・お庁屋」がある。
                      どんど焼き お飾り


特に目を引くのは、大きな男根に見立てた柱状の藁を突き立てたモノ。
先端にミカンを刺し、檜の葉で覆われた中には藁で編んだ玉が二つ隠されている。

うぅ・・なんだかミカンは尿管結石のようで痛そう(?)だけど。
大らかな性の描写は、古代日本人の愉快であっけらかんとした感覚がうかがえ、楽しい。

ふむふむ、こんな大きなモノ、よく作ったなぁ、と感心するわたし。
が、こういうモノを見て「きゃっ、何これ。ヤダ、恥ずかしい!」という感性が全くなくなっている自分にふと気が付き、ちょっと寂しい気が。

道祖神まつりは、材料集めから、お飾りの製作、設置まで各部落の総力戦らしく、当日の午前中に皆で頑張って作るとのこと。

獅子舞が4時半から始まると聞き、周辺の様子を見て歩くことにする。

牧丘町教育委員会の解説パネルがあり、読んでみると。
「‥‥塩平集落は昔、公卿の落人により開拓された所といわれ、公卿平、公卿の墓等の遺跡がある。‥‥獅子舞の種類には三番叟、ご幣の舞、剣の舞、狂の舞、幕の舞がある。昔はこの外に鳥刺踊り、七福神、たたら万歳や歌舞伎狂言などもあり、素朴な山村の民俗芸能として親しまれている。‥‥」

公卿の落人?
知らなかった。

そういえばこの集落には藤原、宮原という苗字が多いらしい。
下の集落には三枝、日原などといった姓が多いのに。
確かに独自性を感じる。

塩平(しおだいら)から焼山林道を4キロほど入った左手に,地元の人たちが『お公家さんのお墓』と呼んでいる石碑があるらしい。
石碑の上部に菊の紋章が彫られていて、年号が江戸期の天保年間のものが刻まれているとしか分からないとのこと。

集会所の上の崩れそうな階段を上り、神社を拝ませて頂くと、中に雅な雰囲気の小さな擬宝珠まであるお宮が祀られていた。

なんとも不思議な感覚。

塩平は見事な富士山が望める。
この日も富士は辺りを寄せ付けない圧倒的な美しさで、孤高を楽しむがごとく、静かに佇んでいた。

この富士を都落ちしてきた公卿達はどのような気持ちで眺めたのだろうか。
美しい景色は寂しい落人の生活を、慰めてくれたのだろうか。

そういう思いで「おやなぎ」を見てみると、意外なほど雅な感じがする。

この辺りにある「鼓川」「笛吹川」「琴川」も公卿の落人達によって付けられたと思うと、腑に落ちる。
日々の手すさびに、都を想いつつ楽器を弾くこともあったのかもしれない。

そんな想像をしながら、いったん道の駅に戻り、コーヒーブレイク。
時間調整し再び塩平へ。

集落の顔役による御祈念の後、獅子舞が披露される。
笛、太鼓の演奏に合わせ、男女性を表す「お山・お庁屋」の前で獅子が伸びやかに舞い、1年の安全、子孫の繁栄を祈願する。

どんど焼き 獅子舞

その後いよいよ「どんど焼き」が始まる。
「お山・お庁屋」も燃やし、4メートルほどの藁で作った男根も一緒に燃やされる。
皆、枝に刺した白やピンクのお餅をその炎で焼き、分け合って戴き、蜜柑、お神酒が振る舞われる。

和やかな中にも厳粛に執り行われる道祖神祭りは、この後、公民館で三番斐、御幣の舞、剣の舞い、狂の舞、幕の舞全てが行われるとのことだが、熊男の家のある生捕、漆川地区の「どんど焼き」も観に行かせてもらいたかったので、五時過ぎに向かった。

暮れなずむ山の麓の公民館は明かりが灯り、大勢の人の気配がする。
宴もたけなわで、どうやら中で獅子舞もしている様子。
まだ「どんど焼き」をやる気配はない。


塩平の獅子舞はすっかり有名になり、今では観光客もたくさん来るが、集落の人間だけで寿ぐ獅子舞も観てみたい。

恐る恐る扉を開け、傍にいた人に写真撮影の許可を戴きたい旨伝え、快諾頂いた。
突然の珍客にもかかわらず、皆さん、嫌な顔一つせず、豚汁やお菓子、漬物を勧めて下さる。

実はマキオカネイチャークラブもこの地区に所属してるのだが、お祭りや草刈りなどの地域の行事にわたしは全く参加できていない。
夏はちょうどハイシーズンで忙しく、普段は鎌倉の自宅で仕事をしているので、申し訳ないが色々な行事は失礼させて頂いている。
そんなわたしを皆さんは優しく黙認して下さっている

味噌っかす状態にさせて頂いているのに、こんな時だけのこのこやって来てご馳走になるとは。

皆さん、申し訳ありません。
どんど焼きを見せて頂くだけのつもりだったんです。
ホントですっ。
うぅ・・。

小さくなっていると、集落の皆さんはどうやら吟遊詩人のような出で立ちのMさん達に興味を持たれたらしく、紹介するように言われ、皆さんの前でご紹介させて頂く。

Mさんが自己紹介中、「聞こえないぞ!」との檄が飛ぶ。

ホント、この辺のお年寄りは耳は遠いけど、とっても元気。
限界集落だけに「若い衆」と言われているヒトだって、60代。
老老介護ならぬ老々行事(?)を頑張ってされている。

5時半になったので塩平の公民館に舞を見に行くことにし、夜道を急いだ。

既に公民館では舞が始まっていた。
山家に似合わぬ典雅な舞。

              どんど焼き 公民館にて


ふと見ると、句が読まれていて、達筆で短冊に書かれ、飾られている。
やはりここの方々はやんごとなき方々の末裔では?と些細なことにも想像が膨らむ。

幕間に辞し、再び元来た道を戻り、生捕、漆川地区の「どんど焼き」を見に行く。

真っ暗な闇の中、天空に向かい炎が勢いよく火の粉を上げているのが遠目からも分かる。

皆、身内の気安さも相まってか、陽気に「どんど焼き」を楽しんでいる。
MさんやIさんも集落の皆さんにすっかり溶け込み楽しそう。

写真家のMさんの為に、「どんど焼き」の前で獅子舞を舞って下さった。

どんど焼き 生捕地区


この獅子舞、どうやらかなり体力を使うらしく、踊り終わったオジサンは苦しそうに肩で息をし、ゼイゼイ言っている。
いつもはやらない舞までやって頂いて、ホント、ありがとうございます。


                          どんど焼き 月光の下

月光と炎の下、乱舞する獅子。

漆黒の夢幻の世界。

普段見慣れているはずの風景が違う顔を覗かせ、まるで時空を超え何かに囚われてしまったような錯覚に陥る。

蒼い闇のしじまから古のやんごとなき方々の嘆きとため息が聞こえてくるかのような気がした。


つづく
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気が付いたらキャンプ場をやっていたマキおかんです。

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