火祭りに行ってきた(3)

こんにちは。今日も楽しいマキオカです。

松明に火がつけられると、富士の麓の街は炎の中に浮かび上がります。

立ち上る火の粉。
人々の喧騒。
揺らめく炎の熱気と光と緊張感。

暗闇の中、富士山にも火の帯が現れる。

ある松明の前で白い斎服姿の集団が、観光客にご祈祷をしている。
同行したKさんが「あれは最後の御師さん達です。」と教えてくれた。

御師さん?

『「御師」とは、富士山へ登拝するドウシャ(道者)にヤド(宿坊)と食事を提供し、登山の案内全般の便宜を図ることや、檀家廻りをして神札を配り、祈祷や祓いをする。』

どうやら御師さんは富士信仰にとって重要な位置にいたらしい。

『1964年(昭和39年)に開通した富士スバルラインによって登山経路が変化したことなどにより、宿泊者が減少し廃業した御師家は多い。』

ふむ。それで「最後の」御師さん、という訳ね。

Kさんは去年御師さんに「塩加持」をやって頂いたらしい。

『「塩加持」とは、松明の前に白い布を広げ、約2キログラムもの塩を円錐形に盛り、その盛り塩に多数の線香を立てて火をつけ、大祓えを唱えて諸神を呼び神徳経を唱えるものである。
「参明藤開山」(さんみょうとうかいざん)と書いた焚き符の半紙を線香の火で焚いて「コウクウタイソクミョウオウソクタイジン」の御身抜きを唱える。
その後、線香と符の灰が混ざった塩を白い布に包み、それを信者の体に擦り健康を祈願する。また、この塩を翌朝の加持に用いたり信者に分けたりする。』

残念ながら今年は「塩加持」はやっていない模様。
Kさんがわたしにも御師さんのご祈祷を受けることを勧めてくれた。

初めは躊躇していたけど、そこは生来好奇心の強いわたし。
さらに「最後の」というフレーズがわたしの心を鷲掴む。

「お、お願いします。」とわたしも御師さんにお願いしてみた。
人の良さそうな御師さんが「もう疲れたけど、頼まれたからにはやってやらなきゃいかんずら。」という表情をしたのは見なかったことにして、図々しく前の観光客のご祈祷が終わるのを待つ。

いよいよわたしの番。

松明の前で、御師さんは数珠で背中を撫で付けてくれる。
御師さん、何だかお疲れのご様子。
                    火祭り ご祈祷

ちょっとおざなりな感じだけど、何といっても「最後の御師さん」だから、ま、いいか、と思う。

後から聞くと、ありがたいことに火祭りの時はお礼は差し上げなくてもいいとのこと。

え?そうなの?
・・・
あんな感想を抱いて申し訳ありません。
バチだけは当てないでくださいっ。

見た目と違って小心なわたし。
深く反省する。

御師さんがいて、露天商がいて、神主、僧侶がいて。
聖と俗の入り混じる不思議な空間。

「火祭り」は「日本三奇祭の一つ」といわれるだけあって、調べれば調べるほど面白い。

『火を使用する祭りであるが雨天や台風であっても延期や中止にはならず、必ず8月26日・27日の両日に催行され、松明の火を火元とする延焼などの火災は一度も起きていないという』

実際の火祭りを見ると、これは信じがたいこと。
沿道のテキヤのおじさん達の顔が赤くなるくらい、松明の火勢は強い。
街の人達がいかに緊張感をもって火祭りに挑んでいるか分かる。

そして火祭りは現代にも過去が生きている。

『吉田の火祭は浅間神社側にとっても氏子側にとっても、最上級に神聖な祭りである。
一切の不浄を排除しなければならず、とりわけ人間の死にかかわるブク(忌服)と呼ばれるものは徹底的に忌避されている。
上吉田の住人は前年の祭りから1年間の間に身内に不幸のあった者を「ブクがかかる」と表現し、ブクのかかった者は祭礼の期間中、上吉田地区以外へ出ることになっており、これを「テマ(手間)に出る」と言う。
身内、正確には血縁者に不幸があった者は不浄であり、世話人やセコを務めることはもちろん、祭事の一切に関わることはできない。
そればかりか、火祭の火を見ることすら許されないという厳しいものである。』

『上吉田から逃げずに玄関を閉ざし家に閉じこもって火祭をやり過ごし、その旨の張り紙をして祭りの2日間は一種の謹慎生活を送る場合もある。
これを俗にクイコミ(食い込み)と言う。これらのしきたりは2012年現在も厳格に守られている。
ブクのかかった者が、それを隠してセコ(神輿の担ぎ手)となり、神輿を担いだなら必ず事故に遭い大怪我をすると言われており、実際にそのようなことが何度か起きているという』

慣例を破って痛い目を見た人がいて、結果的に過去を現代につなぐ役目を担っているとは。
むう、世の習いの不思議さよ。

夜も更けて、燃え尽き崩れる松明は、ますます火の粉を舞い上げる。

神楽殿では神楽講による太々神楽の舞いが行われ、安置された明神、御山の神輿に参拝する人々の列で賑わい、夏の終わりを惜しむかのように、美しい時間が過ぎていくのでした。

               火祭り 御神楽


つづく

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